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気付けばハマる、そこは沼。劇団☆新感線を中心にお芝居について好き勝手書き連ねる場所。

全ては「ゲーム」だったスリルミー2023松岡山崎ペア

2021で悔しいくらいに刺さった松岡山崎ペア、2023でも悔しいくらいに大好きだった……もうすでにもう一回観たい……



俺の大好きな松岡私と山崎彼

19歳松岡私、速すぎる。

頭がいいオタクによる食い気味被せ気味早口マシンガントークが凄すぎて篠塚さんのピアノのテンポがもう絶対におかしいのよ。とにかく速すぎる。

超前のめりな「待ってたよ!!!!!」からの超絶マシンガントークに磨きがかかっていて、懐かしすぎてマスクの下で満面の笑み浮かべちゃった。これだよこれ、わたしの大好きな松岡私。


そしてわたしの大好きな山崎彼は今年も拘置所にいます。山崎彼の「死にたくない」、だぁぁぁぁいすき。あんなにキリッと顔作ってる彼が、ふにゃっと眉を下げて幼い表情に戻って顔くしゃくしゃにして泣きじゃくる「死にたくない」、まじでほんとうにそこだけ永遠にリピートしたい。何度でも言うけど、板の上で不遜で頭のいい自信家のお坊ちゃんがぐちゃぐちゃに弱っていくのが大好物すぎるんやわ。

拘置所の前、手前で53歳私が喋ってる間に、階段の後ろで一生懸命前髪をぐじゃぐじゃに乱して拘置所に臨むんですよね。ほんとだいすき。

現時点で木村前田ペアは未履修だけど、2018からの7ペアのうち2023山崎彼の「死にたくない」がいちばんすきです。みんな違ってみんないいけどね。前田彼も楽しみだなあ。



俺の知らない大好きな山崎彼

2021で大好きだった山崎彼、大好きな要素はそのままだったけど全然違うひとになっていて身震いしたんです。

▼2021松岡山崎ペアのエントリはこちら


若くて、イキってて、ちょっと雑で、そのまんま等身大の山崎彼はもういません。穏やかに微笑んで、一歩引いて、ふと目を伏せて口角をわずかに上げて、姿勢が良くて、指先まで気を遣う上品な山崎彼。気が狂いそうなのはこっちだが?????ロープとかハンマーとか雑に放り投げる山崎彼はどこへ行ったんだよお!タオルを丁寧に小さく畳んで、塩酸の瓶が割れないようにそっと仕舞う山崎彼なんて、わたし、知らない……(フォロワーさんによると2021からタオルは丁寧に畳んでいたらしい。イメージで決めつけてごめん……)

なんていうか、ねえ、2021の山崎彼に、冷たい福士彼とていねいな新納彼をゆっくり混ぜ合わせたみたいな、上品な山崎彼。

19歳の彼は「成って」しまった。

ちょっと何言ってるか自分でもわかんないんですけど、桂馬が金将に成ってしまった感じ……

動揺しすぎて帰りの電車降りそびれました。1マス戻る。


いや、確かに若いし等身大なんだよ。ちょっと背伸びして大人ぶってる大好きなあの感じはちゃんとそのままそこにあるんだよ。でも、2021みたいにニーチェに無理矢理縋ってる幼さが、ギリギリ虚勢張ってなんとか生きてるみたいなヒヤヒヤする危うさがなかったんだよ。勢いが良すぎるあの松岡私の手綱を握ってる感がちゃんとあったんだよ。

冒頭のキスシーンなんて、少女漫画か???と思った。このペア身長差がすごいのはもちろん前からだけど、なんかこんな少女漫画だった?!あんな不意打ちで高いとこからキス降ってきたら松岡私もそりゃあ必死になっちゃうよお……


でも、2023山崎彼のいちばんやべえとこはねえ、ハンカチです。

わたし、血のサインの後で成河私だけが当たり前のように福士彼にハンカチを差し出して、福士彼が当たり前のように指を拭うところが死ぬほど好きだって自分の耳にもタコができるくらい何度も言ってきたんですけどもね、松岡私が呆然と握りしめるハンカチに許しもなく手を伸ばしてちょいって自分の指を拭いた山崎彼、まじで身悶えするほど身勝手で大好きだった!!!!!!!あまりにもずるすぎてオペラを持つ手が震えてしまい、あんまりちゃんと観れてません。なんだよあれ。ねえ、なに?

ずるすぎる。山崎彼ずるすぎて好きすぎる。


今回の山崎彼は2021よりもちょっぴり余裕があったように感じました。確かに追い詰められてるんだけど、それを凪いだ表情と丁寧な仕草の下に隠せるだけの余裕があったの。

そのぶん、人殺しに対する「凪」がすごすぎて心配になっちゃった。2021で護送車の中の松岡私に感じた「なんで今がいちばん穏やかな顔なんだよ??!?!?!」って「凪」が、2023は山崎彼の「殺人だ」だったんですよ。「計画」の前の、あれから5分ほど経った絶望の中で思いついた希望の光。

舞台上手奥の角から、すごい穏やかな表情で、明日の天気の話をするみたいに、気負うことも嬉しがることも凄むこともなく、さらっと「殺人だ」って言うのマジやばい。そのあとの「計画」歌ってる間ずううううううっとニコニコわくわく笑ってるのも本当にやばい。まだ狂ってる方がわかる。遠足が楽しみな子供みたいにキラキラな笑顔なんだよお。おばちゃん、心配になっちゃう。

そして突然ボロッと取れるクールの仮面。「誘拐する?」の提案に、あんなに興奮した彼の姿は初めて見ました……ええ、ほんとうに……びっくりしてオペラ取り落としそうになったよ。わたしの手元を不安定にさせる松山ペア。

あそこで子供みたいに破顔した山崎彼を見て、松岡私の前で取り繕っているあのクールでニヒルな姿はホントに「ゲーム」なんだな、って思った。


それがゲームだったんです

そう、今回めちゃくちゃ「ゲーム」を感じたんですよ。愛とか執着とかそういうのももちろんあるだろうけど、それ以上に私と彼の知恵比べの空気をすごく感じた。

まず松岡私が、彼との触れ合いにあんまりうっとりしない……ええハイもちろん松也私を観た後だからってのも多分にあると思いますけどね!あの子は撫でられるの大好きなワンちゃんだったからね!

▼2023尾上廣瀬ペアのエントリはこちら

松岡私は、山崎彼がこれ見よがしに与えてくる触れ合いにはあんまり価値を感じていなくて、自分だけに意識が向いてる状況に価値を感じてるっぽい気がした。「やさしい炎」でいくら触れてもらっても、彼の意識はずっと炎に向いてるからかぜんぜん嬉しくなさそう。

「スリルミー」で「いつかのように」って歌うその「いつか」が、きっと山崎彼が松岡私との行為にすごく集中していて、自分だけを見ていて、自分だけを感じていて、自分だけにすごく興奮しているっていうのが実感できて、松岡私にとって忘れられない瞬間になったんだろうなって。

彼の意識を自分に向けたい。自分の手で彼の感情を揺らしたい=スリルミーしてほしい、っていう原点をすごく感じた。


そして誘拐のアイデアに破顔する山崎彼、ほんとは松岡私の前でもあんなに子供っぽい笑顔で興奮するんじゃん!?!!?!

本来の山崎彼はあんなふうに無邪気に喜ぶ人間で、「超人たち」で心ここに在らずな松岡私をニコニコの笑顔で誘う人間で、「俺たち2人ならなんだってできる」って私へのおべっかじゃなくて本気で思ってる人間だった。

なんだかんだ言って自分の感情をいちばん揺らしてくれて、嫌な家の諸々を一瞬でも忘れさせてくれて、どれだけ冷たくしても離れず裏切らず、家柄でもお金でも学歴でもなく自分自身を必要としてくれて、自分自身の価値を感じさせてくれる松岡私のことを、心の底では信頼してる人間だった。

そう、そうなんですよ、2021のニーチェに続いて自分の存在価値を外部に置いてしまう部分が強く出る山崎彼、ほんとうに推せる。話が逸れました。


「彼にどうにかしてスリルミーしてもらう」ゲームと、「私が裏切らないギリギリを攻める」ゲーム。どちらも2人で居ないと成立しないゲーム。

だから取調室の「俺を捨てるのか?」が「いまさらお前だけゲームを降りるのか?」に聞こえたんですよね。

こんなの、同じセリフ同じストーリーなんだから受け取り方の違いでしかないんだけど、これはわたしによるわたしのためのレポなので好き勝手書きます。こんな注釈まじでいまさらですけど……


2023護送車の松岡私は「凪」じゃなかった(ほっとした)けどその分オタク早口がすごくて、このひと頭脳比べに勝った嬉しさが抑えられないんだなって。死刑になってもそれはそれで良かった。護送車の彼は別にスリルミーしてない。それじゃあ判決より前に勝利を確信してたはず。どこで?それは判決の前の日の拘置所で……

私が仕掛けた罠のせいで、彼がいままで見せたことがないくらい感情を揺らして怖がる姿を、彼が最大級で「スリルミーしてる姿」を、寝たふりをして全部聞いていましたよね?????

だから「僕の勝ち」なんでは?!??!


わたし、「九十九年」の「まさかお前が」のタイミングがずっと飲み込めずにいたんですよ。

だって「僕の方が一歩先にいた」が勝負の決着なら、その前で「この先お前は孤独だ」=お前の思う通りにはならない、で勝負が続くはずじゃないですか?眼鏡も司法取引も計算ずくだったってもう聞いた後なのにそこからまた「まさかお前」ってさらに気がつくの、何に気がついてるんだろうってずっと思ってた。

でも今回ゲームの側面が強く出てたからようやく飲み込めました。「孤独だ」って彼が勝負を続けようとしてるのに、私はもうすっかりノーサイドな顔してるから、彼があそこで気付いたんですよね。わざと捕まったとかそういう小さな問題じゃなくて「彼と私が2人でずっと一緒に居るしかない状況」を作るっていう、もっと大きなスパンで仕組まれた「僕の勝ち」だったって。もしかしたら、弟の方が可愛がられる状況すら私の計算だったかもしれないくらい、長い大きな「勝ち」を得てる。


しかもさあ、「僕のこと見直したか?」より先に「怖くなったか?」って聞いたの、あれはミスだったのかな?あまりに2023松山にぴったりの流れで天を仰いだ。山崎彼に認められる喜びよりも、勝負を下りてしまうことへの恐怖が先に出る松岡私、2人でしかできないゲームの盤上にずっと2人で居たい松山ペアの願いが表出したみたいだった。


それなのに、ゲームに勝って勝負に負けている53歳の松岡私。とてもかわいそう。



俺の知らない松岡私

53歳の松岡私、ものすごく怒っていた。

あんなに怒ってる53歳私、初めて見たよ。なかなか仮釈放申請が通らなくて怒ってるし、何度も同じ話をさせられて怒ってるし、長く投獄されてて怒ってるし、見当違いの話をされて怒ってるし、とにかくめちゃくちゃ怒ってる。こわい。

あんなに喋ったのにまだ聞きたいのか、何を?!って怒りに、思わずごめんなさいしたくなる。動機……隠された真実……って怒りながら呆れて溜息ついて、そんなに聞きたいなら聴かせてやるよって、初めて事件以外の話をしてくれたんだぁ……って今になって気付きを得たよね。ほんといまさらです。

ゲームに勝って、ずっと盤上に2人で居られる状況を作ったのに彼が退場してしまって、盤上にひとりぼっちで残されて、ゲームの相手も、過去のゲームを振り返るための思い出もなにもない獄中、そりゃ怒りが溜まりますよね……


ちなみに松岡私は19歳「やさしい炎」でも怒ってた。彼に触れられててもぜんぜん嬉しそうじゃなくて、むしろ緊張してる感じすらあって、場所を変えようとしたのに拒まれて、「星空」「臭いが」「オレンジに」のハモリがあんなに怒ってて強いの初めて聴いたんだよ……

ひさしぶりに「レイ」ってわざと呼んだ山崎彼に、ぜんぜんこっちを見てない山崎彼に、その視線を奪う炎に、めちゃくちゃ怒ってるじゃん。

あと「計画」の前、早く済ませようぜって言われた後に服を着ていく松岡私も怒ってた。

ぜんぜん満足気じゃないし、幸せそうでもない。彼が虚でスリルミーしてくれなかったんだな……って思いました。怒りっぽい私、はじめての概念。


そのパターン初めて観たかも、ってもうひとつ思ったのは殺人直後の「超人たち」でずっっっと心ここに在らずな私です。ずっと呆然としてて、力が入ってなくて、ふらふらしてて、彼が立てる物音にビクッとはするけど声も上げなくて、あれ完全に魂抜けてたよねえ。

でもあれが彼に対する演技だったら本当に怖いよねえ……

わりと彼に対してぶりっ子するタイプの私だったけど、同じようにぶりっ子する成河私と違ってどこまでが演技か分かりづらくてすごいゾワゾワした。松岡私、全体的にこわい。褒めてます。


それからこれ誤解なく聞いてほしいんですけど、松岡私、とくに19歳、2021よりもめちゃくちゃ歌が上手くなってないですか????!!?!

もちろん元から上手い方ですけれども、すごい安定してるっていうか、歌声が太くなったっていうか……感情が爆発しても歌が爆発しないっていうか……とにかく強さがマシマシになっていて圧がすごかった。


強さマシマシと言えば、松岡私は山崎彼に必要とされていることを分かっているので、めちゃくちゃ強気なんですよね。殺す相手は「僕?」って完全に冗談で言って「お前」って言われて「いやいや」って即ツッコミ入れられる私、強すぎじゃないです??九十九年、ぜんぜん必然じゃないじゃん。いいじゃん、もうそのままシャバで仲良くしてなよ……


最高で完璧な夜

松山ペアは2021で松岡私をよく観てたぶん、わりと山崎彼をオペラで抜いてしまったので、2023松岡私についてはちょっと想像で補ってるとこが大きいなあ、と思いながらエントリを好き放題書きました。

特に拘置所の松岡私、ちょっとくらい見とくんだったなあ……(ぐちゃぐちゃになる山崎私に夢中だった)


2021の良さだった「未熟な未成年の感じ」を半分残したまま、「成長した19歳」を見せられた2023松岡山崎ペアの9/26ソワレ、カーテンコールで出てくる時に山崎彼が蹴躓いて「ダンッッッッッ」って大きな足音を立ててしまい、目をまん丸にした松岡私が無言で大丈夫?って目配せしてから客席に「ほんとすいませんね」って顔をして、隣で反省の会釈を残した山崎彼がその帰り際にセットで頭をぶつけて頭をさすりながらハケて行ったの、まじで最高で完璧な夜でした。かわいいがすぎるぞ。


残り1組、木村前田ペアは東京のチケット全滅したので大阪までお預けです!それまでに2021にろまりエントリ書けるかな……天號星の2回目のエントリも途中なので……10月もがんばってアウトプットしようと思います。