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気付けばハマる、そこは沼。劇団☆新感線を中心にお芝居について好き勝手書き連ねる場所。

激情のままに書き上げたフランケンシュタイン感想【あきかず】

2月24日、フランケンシュタイン大阪大千穐楽

わたし昨日、つい昨日、フランケン初見でかきこに観てきたところだったんですけど…


差分感想置いとく…


もはやこれは別作品だった…

なぜ…どうして…


かきこにの、特にこにアンリの亡霊が、あきかず大千穐楽を観たうわごとです。もうほんと、こんなのうわごとでしかないでしょ…





狂気のハッピーエンド

うそだろ???

フランケンシュタインかきこに回、どこからどう見ても、何をまかり間違っても鬱エンドだったじゃん!!!

なぜ!!!圧倒的!!!ハッピーエンド!!!


北極でね、怪物が、あ、えっとあの、かず怪物の中に人格が2つあるって話は後で書くので一旦どこかに置いといてもらっていいですか?


北極でね、怪物が歌い始めたところまでは、余裕で鬱エンドだと思ってたんですよ。いやまあ、かきこによりはマシですけどね???

そっか、かきこにはアンリがビクターを救ったけど、あきかずはビクターが怪物を救う話なんだなあ、と思ったんですよ。

あ、えっとあの、この話も後で書きます。

落ち着く前にエントリ編集画面を開いたから、構成がめちゃくちゃですまん。全部あとで書く。


ねえ、ラスト、さいご、いちばん、さいご、ビクター、あんな勝ち誇った顔で、歌うなんて、ねえ!ビクター!

そうね、そう、貴方が造った怪物には確かにアンリが宿ってる。それが分かるまでに、3年の月日と、怪物の苦しみと、周りの人たちの死を犠牲にして、それでも、あんな勝ち誇った顔をして笑えるんだね、あきビクターは…


アンリはビクターのために喜んで(心から喜んで)命を捧げ、怪物は自らの死を以ってビクターを孤独にするという復讐を果たし、ビクターは孤独と引き換えに神になるという野望を果たした。

狂気のハッピーエンド!!!

かきビクター、観てる???


まさか最後の30秒であんなデカイ爆弾落とされるとか思ってないじゃないですか。

ねえ、3時間掛けた地獄のような物語を、あの表情と歌声ひとつで狂気のハッピーエンドに仕立て上げてしまった中川晃教ヤバすぎんか???

そんな中川晃教が出ているSHIROHのDVDを、そういえば年明けに買いましたね…無理だ…しばらく観れそうにない…



解釈の途中ですが歌唱力の話をする

中川晃教さん、初見だったんですよ。

加藤和樹さんも、初見だったんですよ。

歌唱力の暴力がすごい。上下左右から歌唱力でぶん殴られた。なんだこれは。なんていうか、音が、太い。つよい。なに?もうほら、分かるやろ???(語彙の放棄)


なんていうかそのほら、ふたりともさ、最後のロングトーンで、もうダメだ限界!ってなってから、まだ2段階くらい伸びるの何なの?怪物?

怪物による怪物の叫び、演劇において聴覚という受容体が持つ可能性を提示された気分だった。

そうかミュージカルってこうやって楽しむのか…

余談、終わりです。



あきビクターは真の天才だった

怪物の2つの人格の話と、ビクターが怪物を救う話はもうちょっと待ってください。ちゃんと覚えてるから。


昨日のエントリで、かきビクターはちっぽけな人間でしかないって話をして、でもきっとあきビクターは全然違うアプローチなんだろうなって書いたんですけど。

うん、全然違うアプローチでしたね。


あきビクター、真の天才だった。常人が理解できない、神に近いところに、上位にいる天才だった。

それを、倫理観とか情とか社会とか、そういう柵が人間界に繋ぎ止めてしまっている不幸。

解き放たれれば空へ飛び立てるのに、本人は飛び立ちたいと願っているのに、中途半端に翼を縫い留められてしまった天才。


かきビクターのときは、エレンとジュリアが人の道を外れるアンリを赦すから、ビクターの呪いが生まれたと思った。

でもあきビクターは、エレンとジュリアが人間界に引き止めるから、ビクターの呪いが生まれてしまったんだと思いました。

それくらい180°違うダブルキャスト、何なの?!


かきビクターのときは、アンリへの愛着がすごくて、怪物を通してアンリの幻影を追い続けてたわけなんですけど、あきビクター、アンリ個人にはそれほど興味がない。

だから森で怪物と再会したとき、言葉を話し、知能を持った創造物に喜ぶ自分と、怪物を殺さなくてはという「人間の常識」との間で戸惑っているように見えた。(かきビクターは怯えながらも、アンリの片鱗が残ってないかずっと探ってた)

怪物の中に「元の人間がいるかどうか」が大事なのであって、それがアンリであるかどうかにはそれほど大きな感情を持ってない…

俺は持ってるけどな!!!アンリ!!!



かずアンリは狂信者だった

かずアンリは、もしかしたらいちばん正しく狂ってませんか???狂気のひと…(大好物)

そうなんですよ、狂気、大好物なんですよ…

かずアンリ、やべえ…


かきビクターを人間として扱って、友として並んで歩いてくれた、こにアンリはもういない…

あきビクターを天才として認め、人間界の柵から解き放とうとする、狂気のかずアンリ…

俺がビクターを次世代の救世主に押し上げるのだ、という暴力的な信仰…


斬首台のあの表情、ヤバくないです?!??!

恍惚としたあの表情…夢が叶う喜びに溢れたあの顔とあの声…嬉しさが抑えきれない口元。

禁断の道をまっすぐ進むビクターへの羨望と、そこから逃げてしまったかつての自分への悪態。ここでビクターのために死ねば、逃げた過去の自分も赦されるかのような、信仰。


斬首台っていうか
あのひと、裁判の時からかなりヤバかった。

裁判でビクターが「俺がやった」って言ったとき、めちゃくちゃ怒って苛立ってるんですよねアンリ。観た???

そのあと裁判官が「無効」って宣言したら、満足そうに頷きながら微笑むの。

こにアンリをオペラしてなかったのが悔やまれる…
あのひとどんな顔してたの…


めちゃくちゃ不敵な笑みで自分の死刑を喜ぶかずアンリ、ヤバすぎて白目剥いた。優しいこにアンリの翌日に浴びる狂気のかずアンリ、心臓に悪い。



怪物とアンリの人格の話

おまたせ!わたし!!!!!ようやく書く!かず怪物の中に、怪物とアンリの2つの人格が共存していた話をします!!!!!


昨日観た、こに怪物は、アンリだったんですよ。だんだんアンリの記憶を取り戻していく怪物だったんですよ。

でもかず怪物は怪物だった。怪物として生まれて、怪物として死んでいった。

怪物として生きているのに、少しずつアンリという人物の記憶が蘇ってきて、自分が自分では無いような瞬間があって。

つまりその瞬間、我々には怪物にアンリの表情が見えるわけですね!!!ヤバすぎる。

生まれてすぐ、「アンリ」と呼ばれて振り返った瞬間は絶対にアンリだったし、カトリーヌと歌いながら「北極…」と呟いた瞬間も絶対にアンリだった。

ビクターの日誌を読んでは頭を抱えて記憶を取り戻し、言葉を思い出す中で「地獄」や「苦しみ」という言葉に反応してまた記憶が蘇る。

ゾッとしたよね。


かず怪物は怪物というひとりの人格で、アンリという人格を支配下に置いてコントロールしている感じ。

怪物という人格が、怪物という人格のままアンリの記憶を手に入れて、理解はできないけど認識はしてしまったという感じ。


とにかく何が言いたいかというと、昨日はアンリ目線で観たくせに、今日はアンリではなく怪物目線で観ていますね?と自分で気が付いた瞬間のわたしの死を一緒に感じてください。

ダメージが…でかい…

Q. 怪物に人格を感じてしまったら、このおはなし、めちゃくちゃしんどくないですか?

A. しんどい…


生まれたことが苦しみで、その理由が狂信者と天才の身勝手で、創造主には名前も付けてもらえず、怪物と呼ばれ、たった、ひとり。

時折、痛みと共によみがえるのは、自分には無い、誰かを信じた記憶。ひとりぼっちの怪物には、手に入れることが出来ない記憶。

えーん!!!かず怪物つらいよお!!!



ビクターが怪物を救う話

前回エントリに引き続き、このあたりは泣いているので7割くらい捏造です。


かきこには、アンリはビクターを救ったけど、絶望の確信犯なのでビクターに残るのは絶望、って話をしました。

あきかずは、アンリとビクターの望みが叶って、まさかのハッピーエンドだったんですけど、それが分かるのって最後30秒じゃないですか!!!

それまでは、ビクターが怪物を救ってやる話だと思ってたんですよ。最後にあっきーの狂気の歌が全部吹っ飛ばしたけど。めげずに書くんだ。


怪物はひとりぼっちで、対等に会話してくれる人間なんて1人もいなかった。

訂正。唯一、会話してくれたカトリーヌも、どん底の生活の中で怪物を見捨ててしまった。


怪物は怪物という特異な存在で、

誰かの特別になることはできなくて

それなのに怪物という特異性すら

「どこにでも怪物はいるよ」と奪われてしまう


誰にも愛された記憶を持たず、創造主であるビクターにも愛されなかった怪物。誰も信じられず、創造主であるビクターすら信じられない怪物。

それなのに、ビクターに友と呼ばれたアンリという人格を、記憶を、内包した怪物。しんどすぎる…


怪物にとってビクターは、自分にとっての創造主であり、アンリの記憶の中の親友で、どちらにしても特別な存在。

そんなビクターが、怪物を殺すためだけに、自分のためだけに、安寧の地である北極までやってくる。

それってある意味めちゃくちゃ愛だなあって。


北極でビクターを「ともだち」と呼んでしまって驚いたのは、アンリではなく怪物だった。

怪物なのに、ビクターを「ともだち」と呼んだ。

あの瞬間、ああ、怪物も「ともだち」のために命を捧げることが出来るんだな、って思ってしまったわたしの業は深い。


かず怪物は最後、ビクターが銃を向けたとき、ゆっくり後ずさるんですよね…ナイフを捨てて、距離を取って、両手を広げて、斬首台のアンリと同じ笑みを浮かべるの。

アンリが羨ましくて、ビクターの、誰かの特別になりたくて、歌いながらこころが泣いていた怪物。

死ぬことでビクターの特別になれるからって、そんな嬉しそうに笑わないでくれよお…


ビクターは怪物に銃を向けながら、やっぱり殺すのは惜しいんだよね…自分の作った新しい命…アンリの復活には失敗した(と思ってる)けど、ほぼ唯一成功した個体だもの。

冒頭で破棄した個体すら少し惜しんだんだもの。

惜しいよね。創造主に惜しまれることで、怪物は救われたんですよ。怪物のまま、怪物として、惜しまれて、死ぬんですよ。しんどい。

その死の間際に「ビクター」と呼んだのも、怪物だったと思うんですよね。ビクターが、アンリでも創造物でもなく、自我を持った怪物自身と向き合ったから、怪物もビクターを個として認めることができた。

「科学者」「創造主」っていう概念ではなくて、自分の中のアンリの人格が呼ぶ名前を、自分も初めて呼ぶことができた。


と、思った瞬間、アンリの人格の存在を悟ったビクターが勝ち誇った笑みで歌い出してハッピーエンド迎えるじゃない?!?!!?!

ねえ、哀しい怪物の物語はどこへ?!??!?



まだ一人二役の話をしてない

強行スケジュールで前楽のエントリを書いて、フランケンシュタインを連続で浴びて、ぶん殴られて、もう力尽きたのでその他の感想は略していいかな…

いや、だめです。

一人二役の話だけさせてください。

日替わりではなく、1幕と2幕の一人二役です。


あの配役、業が深くないですか???

1幕と2幕でさあ…ビクターとアンリだけが入れ替わった関係性になってない???いやあの、深読みしている自覚はある。どうせうわごとなんで、聞いてくれますか?


みんなが忌むビクターを「特別な子」と認めたエレンは、エヴァとしてみんなが避ける怪物を「金」だと言い、居場所を与えた。

同じ子供としてビクターを理解したジュリアは、カトリーヌとして同じく虐げられる怪物に理解を示した。

ジュリアをビクターから遠ざけようとしたステファン叔父が、フェルナンドとしてカトリーヌに怪物を裏切らせた。

常にビクターの味方だと言ったルンゲは、イゴールとして常にジャックの悪行を手助けした。

そしてエヴァとしてフェルナンドの腹を刺したエレンに、叔父の腹を刺した罪をなすりつける怪物…?エグくない…?


そしてジャックにだけはあまり自我がない…欲望(男色?)さえ満たせれば、その他はエヴァの言いなり…かきジャックはエヴァに嫌気が刺しているというそぶりさえあった。(あきジャックにはない。)

これは、アンリの嫌いな過去のアンリなのかなーと思ったり。研究を、諦めてしまった頃のアンリ。神への恐れと、人間への絶望を理由に、研究を諦めてしまったアンリ。周りからの声に負けたのかなって。


ビクターの苦しみを追体験した怪物、ビクターに復讐を誓うの、あまりにもしんどい。

ぜんぶうわごとだけどな!!!!!


ちなみに命名に意味を求めてしまうタイプのオタクなので、いろんな名前をちょっと調べてみたけど、ほとんど分からなかった。

映画フランケンシュタインでヴィクターの助手がイゴールだったってことしかわからん。



残り2ペアはどこへ…?

わたしのかきかずとあきこにはどこへ…?

遠征はスケジュール的に難しかったし、大阪全通も無理だったんだよ仕方ない…

DVD…後生だから残り2ペアも出してくれよお…

観たいんだよお…


だって絶対に歪じゃん?!(ほめてる)

かきかずはさ、かきビクターが、かずアンリの狂信を、絶対に受け止められないじゃない???あっ、コレめちゃくちゃしんどいやつ?永遠にベクトルがすれ違い続ける2人になるやつ???かきビクターがボロッボロの絶望になるやつでしょ???

観たすぎる…!


あきこにの方は、アンリも怪物も、あきビクターの強い意志に耐えられないよね…どうなるんだろう…

でも、かきビクターには友のように接したこにアンリ、あきビクターにも同じように接したら…人間側に引き摺られてしまうビクター…え…裁判前の牢獄のシーン、地獄じゃない???ビクターに飛び立ってほしいのに、ビクターも飛び立ちたいのに、ずるずると引き摺られて泣き崩れるんでしょ2人で…地獄じゃん…(すき)


劇場のアンケートには2枚とも、残りの2ペアの映像化を熱望する声を書き殴ってきました。

千穐楽で加藤さんが「みなさまから、ありえない数の、ほんとにすごい数の、再演の希望があったそうで、異例の速さで再演が決まりました(意訳)」って言ってたから、みんなですごい数の希望届けよう。


フランケンシュタイン、一度食べるだけでも美味しいけど、二度食べたら違う地獄を味わえるビックリ公演だったよね…

信頼できるフォロワーさんたちの沼はやっぱり信頼できるなって思いました。今後ともよろしくお願いしますね…