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気付けばハマる、そこは沼。劇団☆新感線を中心にお芝居について好き勝手書き連ねる場所。

富士の裾野でデストロイ!深読みオタクが押し通る【神州無頼街大阪・静岡】

2年越しのデストロイ〜〜〜〜!

悲しみに暮れる2年前の私を励ましてあげたい。ちゃんと2年後にチケット取れてるから安心して待ってて!!!!


とりあえず大阪で2回、静岡で1回観た段階の、ネタバレしかない感想エントリです。

感想というか、お衣装考察…?

私は解釈するオタクだった、と思い出させてくれた神州無頼街、描かれていない部分が多すぎて解釈の余地しかない!!!


それはそうと、富士の裾野の無頼街、ほんとに富士の裾野で上演してくれるの天才すぎて声が出ないし、富士山はデカすぎて声が出ない。静岡公演バンザイ!!!!!



裏地の話がしたいんですよ

裏地の話が!!!!!したいんですよ!!!!!当エントリは半分くらいがお衣装に狂ったレポになっております。

いつもいつもいつも衣装で関係性を表してくる新感線くん、今回も本領を発揮しすぎていてしんどい。(ホンマかは知らんけど)

お衣装に狂ったオタクの戯言聞いてくれますか?



草臥

メインカラーは青。月髑髏と逆でオタクが叫ぶやつ。

着物はいつも右見頃と左見頃が違うツギハギ柄。上着は毛皮と白と黒との3種類。

上辺だけ取っ替え引っ替えな口出し屋のチグハグな雰囲気を感じてニコニコしちゃったんですけど、裏地がね、最後まで一貫して同じ柄なんですよね…


口八丁の口出し屋の裏に隠されたその一本気がさ…白地にオレンジと紫のまだら模様っていうかなんていうか…オレンジと紫って…それってつまり、凶介と永流ですかね…


ちなみに次郎長一家で貸してもらうお着物はチェーン柄で、次郎長親分とお揃いコーデになるのが何回見ても好き。



次郎長一家

親分の、草臥とお揃いになるスカーフみたいなチェーン柄。なにあれ???あの総柄着てる監督すごくない???

監督が宮野真守とお揃いコーデでBから始まる例のアレ踊ってるのメチャクチャ好きです。シュッシュ。

ちなみに裏地はめちゃくちゃ大きな薄い紫の薔薇です。掌返す時にだけ見える。


子分たちはエスニック。タイダイ柄の大政小政が好きすぎてすぐオペラしちゃうし、ベトナム花柄の渡部さんもすぐオペラしちゃう。

そんなカラフルなお衣装の裾を捲って白パンツに黒ブーツに黒手袋でサソリコロリのスプレー片手に踊る次郎長一家最高では???



身堂一家

身堂一家の4人お揃いの波柄(?)衣装、素敵すぎませんか?!?!?!大阪の2階席から登場シーンオペラしてて「お揃い!!!!!!」って思わず心の中で叫んだ。ラメラメで波波のお着物、4人お揃いで着るのは冒頭とラストだけだし、4人並ぶのは冒頭だけなんだけど、メチャクチャかわいい。グッズ化してほしかった。



蛇蝎

メインカラーは赤。似合いすぎでしょ…

とりあえず次郎長親分のところへ乗り込む時の服装がセンス良すぎて惚れる。着物に革コートに革手袋に革ブーツ…天才か…

と思ってたら静岡から革コートじゃなくなってたらしい!き、気が付かなかった…悲しい…なぜ変わってしまったのか…


蛇蝎も実は衣装替えが多いけど、裏地は一貫して同じ花柄ですね。鮮やかでカラフルな花柄。

花は麗波のモチーフで、蛇蝎が総柄の花を裏地に持っているのは麗波過激派の証だと思ってる。



麗波

今回ねえ、松雪さんの立ち方がいつもと全然違って凄かったよねえ…足開いて肩開いて、あれは男の立ち姿ですよ…そういうことだよ…

衣装の話をしましょうね!


メインカラーは紫。2幕冒頭だけ黒を着ているので、麗波が紫で狼蘭の男が黒かな。

麗波さん、紫地に花柄の、普通の訪問着みたいなのが裏地なんですよね。ワンポイントの花柄。波柄のお衣装の裏地は薔薇…という認識でいいんだろうか…


でもさ、草牙が夜に会いに行く時の階段の壁が蓮の花じゃん。だから狼蘭の男が蓮の花で、身堂麗波は薔薇なのかな…と思っています。

これに後で被弾する。



揚羽

あんなに可愛いのに衣装チェンジがない…だと…?!


メインカラーはピンク。最初から最後まで身堂一家お揃いの波柄のお着物を着てる。

そう考えると彼女だけが最初から最後まで「ヤクザ者の身堂一家」だったのかもしれないなあ、と思います。助けてくれた蛇蝎への仁義を通して、潔く腹を括って、無頼街を守ろうとして、子分たちを見放さなかった。


蝶々柄の羽織は左見頃にだけ3次元蝶々が付いていて死ぬほど可愛いね!そんで右袖の前と左袖の後ろ(逆かな?)だけ花柄だけど、サツキかツツジか…とにかく薔薇でも蓮でもない。


ちなみに大阪は2回とも2階席でどうしても見えなかった揚羽お嬢様の裏地は静岡で確認しました。なんの花かなーと思ってたらまさかの豹柄でぶっ飛んだ。

なぜなら千之助と百千代が同じアニマル系のゼブラ柄だからですね!!!あ、揚羽お嬢様〜〜〜!!!!!

無頼街のお梅の子どもたちも(高壱以外)アニマル柄で繋がりを感じてホクホクしたんですけど、犬吠のトンチンカン三兄弟のところもアニマル柄なのでちょっと雑念が入る。


揚羽お嬢様と高壱の話は後で書く!!!!!!



凶介

メインカラーは橙。実は衣装が3種類もある凶介。何で???

家族お揃いの波柄と、キラキラスパンコールのペイズリーと、キラキラじゃないペイズリー。ペイズリーは甚五の本性なのかなあ。

ペイズリー柄は蛇蝎か麗波が上着に着ていた気がするけど確かな記憶ではないので東京で確認したい…


衣装が変わっても裏地は全部、シャツと同じようなまだら柄。柄の系統としてはちょっとだけ草臥と似ているような気がします。色が全然違うけどね。



永流

問題の永流です!!!!!!!でも裏地の前に言いたいことがたくさんある。


まず一幕から二幕へのマイナーチェンジis何?

上はベージュから白になり、袖も紺から白になり、下も水色から白になる。ラストにむけてちょっとずつ白要素を…加え…?

個人的には一幕のベージュのほうがすきです。カテコもベージュのほうで出てくるので、2幕の白衣装がほんとに何で???って感じ。


そしてこのお衣装マイナーチェンジのせいで微妙にメインカラーが定まらない永流。アイシャドウは毎度のことながら水色ですけどね!!!

一幕のお衣装に白が入ってないから紺…になるのかなあと思いながら、ラストの帯が逆転月髑髏で紫なのでやっぱり紫なんだろうか。

でもそれって麗波の色だなって考えるとちょっぴり複雑なキモチ…


そんな複雑なキモチに拍車を掛ける問題の裏地。ねえ、永流の裏地まじでどうにかしてくれよ。

メイン衣装の紺の上着の裏地、蓮なんですよ。そんでラストの紫帯の白衣装の裏地、たぶん薔薇なんですよ…なにそれ…なに…それ…

薔薇のほうは正直自信ないけど、なんかローラアシュレイみたいな花柄です。伝われ。


医者として身につける紺服に狼蘭を抱き、身堂を討つ白服に麗波を抱えたとしたら…業を背負わせすぎじゃないですかね??!?!?!(すき)



描かれなかった関係値

今回「それ…詳しく…!」な匂わせ関係値が多すぎてオタクが困ってしまうよね!!!!!

大阪楽を一緒に観たフォロワーが「脚本のボリュームがアニメになっちゃってる」って言ってて超納得した。全24話のアニメなんよ…その2人にもあの2人にも1話30分の尺が必要なんよ…!!!



揚羽と高壱の関係を教えてほしい

高壱が揚羽お嬢様に憧れていて、揚羽もそれを分かっているっていう話をさせてください。

高壱、一度しか名前が出てこないので配役表で調べました。メタルさん演じるお梅の長男です。筋肉のひと。

ずっとダンベル持ってるけど、薪割りの後その土台までダンベルにしはじめてさすがに笑った。


最初に揚羽お嬢様が無頼街に差し入れ持ってきたとき、高壱がめちゃくちゃソワソワして背伸びしながらお嬢様の様子伺ってるのを見つけて最高だな?!と思ったんですよ。

差し入れのご飯食べながらも、ちらちら振り返って揚羽と永流の方を気にしてて…


そしたら賭場でさあ、揚羽お嬢様が高壱にファンサしてるんだもん…最高か???


賭場で身堂一家が歌って踊ってる間、高壱はずっと上手でニコニコそわそわしてるんですよね。揚羽だけじゃなくてダンサーのお姉さんたちのことも見てるけど…

揚羽のほうは、後半で上手のテラスに行くとき、壺からひとつ小判くすねるんですよ。そんで下の民衆に向かって見せるんだけど、アレどう考えても高壱に見せてるんだよね。

高壱も呼ばれるみたいに近寄っていって、揚羽が上から小判を投げ渡すの。受け取った高壱はホクホクの笑顔で小判握りしめてんの…なんだよそれ…好きかよ…


そのあとサンボ父さんに小判見せびらかしてるから、なんか単純にお金手に入れたよ!的なアレもあるだろうし、身分違いすぎて恋心というよりは単なる憧れなんだろうなーと思いつつ、身堂一家が瓦解して飛び出した揚羽と、家族で新しい街を探しにいった高壱が、どこかの街で再会する日もいつか来るかもしれないなって思いました。戯言。



狼蘭の男と深陰童子頭の話

あの2幕冒頭の過去の回想シーンからの早変わりが死ぬほど好きなのは狼蘭の男のせいだと思う。

蛮幽鬼の「サジと呼ばれた男」に被弾したみんなたちはお分かりかと思いますが、今回の川島さんの役名も「狼蘭の男」なんですよね…名前…無いね…


永流ですら「秋津島(本州の古名)に流れ着いたから」って命名なので、ほんとうにかじゅきは狼蘭族に重い運命を背負わせすぎだと思います。(すき)

ついでにシレンの由来も教えてもらっていいですか?


顔を変え、身体を変え、名を変えた狼蘭の男。息子すら思い出せない元の顔は、きっと蛇蝎も知らない。

でもいくら表面を整形しても、眼玉は変えることができない。その眼に惚れ込んだ蛇蝎は、ほんとにガワがどうなっても良かったんだろうな…


狼蘭の男の顔は誰にも明かされなくて、狼蘭の男の名前も一度も明かされなくて、狼蘭の男が存在した証拠はどこにも、なにひとつなくて、きっとただ唯一、永流に受け継がれた医療の知識として後世に残っていくんだよ。

気が狂いそうだ。


早変わりについては蛇蝎も麗波も二幕冒頭で着物の裾が2枚重なっているのを確認したので、たぶん3枚の衣装を重ね着して登場(だからかなり着膨れしてる)して、1枚目を脱いで過去の衣装になり、それをさらに脱いで元の衣装に戻ってるっぽい。

暑そう。



棺桶屋のお銑と揚羽お嬢様の信頼

「お嬢様にはいつもお世話になってますから」には、麗波の取り立てへの態度とは違う何らかの親密さを感じるじゃん?????

危ない橋を渡る揚羽がなんの躊躇いもなくお銑に運んでもらってるのは、すごい信頼があるじゃん…?


麗波が偽物の母で「永流の父」であることを当たり前のように知っている揚羽は、もしかしたら無頼街でお銑さんを母のように慕ってたのかもしれないなって。


賭場で儲けさせてもらっている以上の何かしらが、その二人の間にッッッ…!あったのだろうに、いっさい何にもわからない。

神州無頼街はやくアニメ化しよ…



揚羽と蛇蝎の父娘カンケイ

大阪の序盤に観て「えっっっっ」って思ったのが、賭場のあと、酒を持って来いと命じる蛇蝎に答えた揚羽の「はい」の感情のなさ。

なんか変更入るかなーと思ってたら、静岡まで一貫して感情が無いので、そういう演出なんだなと思い知った。

あんなに表情豊かに歌って踊って、無頼街でもあんなに活き活きしてたのに、その「はい」の無機質さは何?????


戯曲本を見たら「は、はい。」になってて、ちょっと戸惑ってる感じなんだけど、実際の台詞に躊躇いはない。

操り蟲ナシで身堂一家に身を置いて、彼らを「父さま」「母さま」「兄貴」と呼ぶ揚羽は、どんな感情で蛇蝎の命令に返事してるんだろう…


そして、蛇蝎はそんな「娘」をどう思っていたんだろう、というのがもう一つの疑問。ほんとうに道具だとしか思ってなかったかな?

無頼街の人たちを助けに向かう揚羽に「殺すかい?」と銃を構えた麗波を止めたのには、どんな意味があったんだろう。

嘘だとしても「つっかかってくるアンタを見たくなかったんだろうよ」と麗波に言わせる蛇蝎と揚羽の関係を、ねえ1話30分でアニメ化しようよ???

とりあえず貴族の追手に殺されかけた揚羽を助けに入る蛇蝎の過去回だけはさ絶対に見たい。



無頼街とインディさん

これも、今回わりと衝撃を受けたところ。無頼街に「触れられない差別」が存在すること。


これまでのいのうえ歌舞伎では「民衆」「群衆」ってわりと等しく貧しくて、等しく歌って、等しく働いて、ひとつの集合体だった。

貧富の差があるにしても、台詞があって意味が与えられる差別だった。

だけど今回のインディさんは違う。ひとり目立って襤褸を着て、みんなが歌う無頼街で輪にも入れてもらえなくて、邪険にされて、揚羽お嬢様からの差し入れも一人離れて食べる。でも誰も触れないし台詞もなければ名前もない。


こんなふうに、背景のひとつとして差別が存在するのを初めて観た気がする。(認識してなかっただけかもしれない)

しかもそれが「荒廃した街の象徴」とかじゃなくて、ふつうにヤクザ者のための街と銘打って栄えている無頼街だから、余計に。

働いたらお足が出る無頼街で、インディさんのあの役は働いてないのかなあ。目が足りなくて確認できてないけど、出産のシーンだけは上手側で並んで応援していたからちょっとホッとしました。


みんなどこかから流れてきて無頼街に住み着いて、お嬢様の庇護のもとで働いて麗波さまに上納金をおさめる。

みんなヤクザ者で流れ者で、境遇は似ているはずなのに、あのおじさんは何が違ったんだろう。

配役表に名前も無い。きっと戯曲本にも出てこない。(出てるのかもしれない。読みなさいよ)誰も知らないところで差別を受けていたあのおじさんは、生き延びることができたんだろうか。


男同士でコロシアイ、男2人で子供を育て、ヤクザ者の家族を母が支え、技術ひとつで女が手に職を付ける、そんな絶妙な男女平等が進みはじめている新感線を観ながらそんなことを考えていました。



御庭番箒衆の幼馴染たち

草臥と甚五が幼馴染で、草臥とつまぎが幼馴染で、つまり三人とも幼馴染で???

ヘラヘラしててつまぎにすぐいろんなところへ落とされるのに実は実力がピカイチな奏之進と、ビビリのくせにすぐに強がって見栄を張る甚五と、お転婆でまっすぐで、いつも奏之進がわざと落ちてくれていることに気付いているつまぎの幼少期ストーリー、みんなもう観た????

明らかに草臥に好意を寄せながら任務を優先するつまぎ、完全にヒロインだったよね。さとみさんめちゃくちゃ可愛かった。


個人的には、草臥の背負う過去がもうちょっと明かされても良かったと思うな…

幼い頃から隠密として育てられて、忍びだから暗殺の知識もあって、期待の星、実力者と言われているのにお役目の無い人生、茶化して言ってはいるけど結構重いよね。

普通の人生を捨てて「有事のために」と育てられたのに、尊王や攘夷やと世間で肝心の有事が起こってもお役目は来ない。そりゃあ、少しでもこの力が役に立つ場所へ身を置きたいと思っても不思議じゃないよね。


そして本名の「奏之進」の漢字表記が「草」ではなく「奏」だったことに地味に衝撃を受けたわたし…

というかそもそも、戯曲本をまだ読んでいないので今回エントリ書いて漢字変換するまでサッパリ気が付かなかった、というか考えてる暇がなかった「草臥」の由来。

「骨折り損の草臥れ儲け」って「三途の川に捨之介」と同じくらいのインパクトある口上じゃないですか?!拍子木あった?なんで気が付かなかったんだろう。

あのシーンは甚五の人生に思いを馳せているか、隣で聞いてるつまぎちゃんの表情をオペラしているかだったので気が付きませんでした。


名前に意味を持たせるの大好き人間のかじゅきが草臥の名前に何も込めてない訳がなかった。

冒頭で金を無心しておきながら「骨折り損の草臥れ儲け」にアイデンティティを置く草臥。へらへらと鳴り物片手にぐうたらしておきながらその鳴り物に仕込み刀を忍ばせている人生。薩長の戰にも口を出すと豪語する口出し家業。

パパだけじゃなくて主人公の過去編回想シーンがあっても良かったよね…!

主役以外のところに意識を持っていかれがちな神州、東京ではちゃんと主人公を見たい。



舞台の上に人がいるありがたみ

神州無頼街、何がいいって無頼街がゴミゴミしているのが良い。

斜めに並べた建物のセットが遠近感を作って、細くてごちゃごちゃしてて猥雑な路地にひしめく人々。
2年前までは普通に見ていた「街」の描写。戻ってきたんだなあ、戻してくれたんだなあ、と涙ぐんだ大阪公演。

今回歌が多くて歌詞が見たいから最初が2階席だったの正解だなあと思っていたんですが、大阪、静岡、東京と手持ちチケットがだんだん良席になっていくので残り公演も心ゆくまで噛み締めたいと思います。

まだまだ気は抜けない日々だし、いつ飛ぶか分かんないから全都市まんべんなくチケット取ったけど、薔薇サム2はもっともっと「いつも通り」に楽しめるといいなあ。チケット取れますように。