劇団☆新感線45周年おめでとうございます!!!!!
とりあえず叫びたいので、ネタバレなしの速報エントリです!サイトのあらすじに書いてあることしか言ってない。はず。
芝居好きの芝居好きによる芝居好きのための芝居
大祝祭だあ!!!!
爆烈忠臣蔵、松本公演初日を観てきました。ほんとこのひとたちいつまでも好き放題やりやがって!!!!!(ほめてますもっとやって)
あらすじに「月影大御神」が出てる時点でアレなんですけど、まじで芝居を愛する者たちを祝福する作品だった。
芝居を愛している人たちが、ただ芝居をやるために命を懸けて生きる物語。コロナ禍にいちど芝居を奪われたことがあるひとたちが、その苦しみを祭りに変えた大祝祭。いつの時代も、どんな世の中でも、命に替えてでも、「Show must go on」を貫くひとたちの物語。
芝居を守るという心意気は過去からずっと続いているのだと、そしてそれはこれからも続いていくのだと、わたしたちに示してくれる物語。
愛にあふれてる……
個人的にはここ数作かなり不完全燃焼が続いていたので、シンプルになんの憂いもなく楽しく観劇して、終わってからオタクたちと笑顔で乾杯できるだけでも、まじで心から嬉しい。次のチケットをただわくわく握りしめていられるの、ほんとうに嬉しい。
そもそも物語という物語は無いんですよね。ご禁制の芝居をどうにかやろうとする話。それ以上でも以下でもない。こんなに物語がないのに4時間たっぷり満足できるの、ほんとうに劇団☆新感線って感じがする。
いや、あるよ、思ってたよりも数倍、ちゃんとキャラクタの人生と物語があったよ。でもさあ、物語っていうかあれは役者っていう人生の話じゃん。心に芝居の火を灯してしまった役者たちがもがき続けてる話じゃん。そんなのほとんどドキュメンタリーじゃん……ずるいよ……
何があっても芝居と生きていく話を、何があっても芝居と生きていくひとたちが、何があっても芝居と生きていくひとたちのために演じる物語。これはもはや福音です。
2回目の観劇までの間にパンフと戯曲本を読み終えました。いつもわりと長めに積読しちゃうんだけど、今回は読んだよ。ちゃんと受け取りたいから。
観劇歴が試されるオマージュ
それにしたってちゃんと受け取るには劇中劇とかオマージュがほんとに死ぬほど出てきて難易度が高すぎるんだよなあ?!
わたしは聴覚記憶がポンコツなので、音楽のオマージュを把握するのにめちゃくちゃ苦労するのはもう仕方がないんですが、それにしたって新感線過去作に始まり、グラミュ、時代劇、歌舞伎、ロックと、中島かずきといのうえひでのりの趣味の振れ幅が大きすぎて今回必要な履修ジャンルが闇鍋すぎる。
天保十二年のシェイクスピアを観たときも教養が求められてると思ったけど、爆烈に関しては一般教養じゃなくて演出家と脚本家のアンテナにひっかかってるものをどれだけ知ってるかだから……そんなカルトクイズみたいな……
それで言うと、思っていたよりちゃんと(ちゃんと?)忠臣蔵をやっていたのは驚きました。ちょうど今年、別現場で忠臣蔵を履修していたおかげでキャッチできたやつ。
……いや、まあ、あれを「ちゃんと」って呼んでいいかどうかはわかんないけど、松の廊下も、浅野の切腹も、斧定九郎も、陣太鼓も存在したから、まあ、やったでしょ、たぶん。忠臣蔵を名乗るのに必要なエッセンスは全部入ってたよ。
ひとつだけ、ネタバレにならないネタバレを置いておきます。
わたしは一生メロディを覚えていられない聴覚ポンコツですが、「3ダァ!」って歌詞はぜったい「Thunder」だろうというヨミだけで検索して出てきた曲が、いのうえさんお気に入りのロックバンドの曲だったのできっとこれのオマージュなんだろうと勝手に確信しています。カテコとかでみんなで一緒に「3ダァ!」って叫びたいね。
ちなみに「小半刻」と「未練でござんす」は戯曲本にちゃんと台詞として歌詞が載っているのを見つけて腹が捩れるほど笑いました。観てないひとは何を言ってるか分からんと思うけど、観たら分かる。中島かずきがよくやる「というような歌を歌う」ってト書きじゃなくて、台詞として歌詞あります。純度100%中島かずき産の2曲。
しかも戯曲本には脚本家が泣く泣くカットした20分ぶんの芝居が残っています。馬鹿馬鹿しいネタも、天外先生のいい台詞も、金四郎のいいシーンもあるよ。みんなもぜひ読んでくれよなッッッ!
役者が役者を演じるということ
新感線のパンフレットって、キャラクタの説明を七五調にしたフレーズがあることが多いんだけど、今回はキャラクタ本人の生き様と、そのキャラの役者としての生き様と、七五調のフレーズが2種類あって、主要メンバーは一人あたり6ページあります。読み応えがありすぎる。
劇中劇があるからほぼみんなそうなんだけど、本役を演じつつ、「本役が演じる劇中劇の役」を演じる。だから芝居の中なんだけど「本役」はある意味彼らの「オフ」の状態なんですよね。それがめちゃくちゃ良かった。
パンフの古田新太インタビューにもちょっと書いてあるんだけど、演じてる役が演じるのを演じるんだよ。本役そのままで演じちゃだめだし、自分がその役を演じてもだめで、「本役が演じている役」を演じなきゃいけないんだよ。これ、もうちょっと回を重ねて観たらめちゃくちゃ味がする要素だと思う。
役者本人たちが何十年も積み重ねてきた役者としての人生と、本役の役者たちが積み重ねてきた人生。公演が進んでこのふたつが重なれば重なるほど、きっと劇中劇の役の説得力が増していく。
舞台セットもめちゃくちゃいいんですよお!中村仲蔵とか天保十二年のシェイクスピアとかと同じ、二階建てのデッカい機構がふたつ。くるっと開いて街になるし、くるっと並べて城内の廊下になるし、くるっと閉じると定式幕になる。
人が多いぶんあんまり派手なセットはないけど、2階が使えるからめちゃくちゃ立体感のある芝居になってる。
そんでその機構も存分に使ったラストシーンの演出がまじで最高すぎて無理。震えたよ。
わたしが観たの、初日なんですよ。まだ初日なのに、めちゃくちゃ完成してたんだよ芝居が。芝居というか、空気が。そこにある世界が。もう何回もずっと一緒に公演を重ねてきたみたいな呼吸があったんですよ。これが劇団員大集合のパワーなら、この馴染みの人たちがいまのお互いを掴みきって噛み合ったときの出力なんて、とんでもないに決まってるじゃんね。大阪も東京もめちゃくちゃ楽しみ。
こんなにふざけてるけど、ちゃんと本気で真正面から芝居をやってんですよねえ、あのひとたち。45年もずっと……やっぱりすごいよ……
芝居を愛する役者たち
ネタバレせずに手癖の役者別感想も書けるとこまで書くよぉ!と思って書き始めたら、ネタバレしないとめちゃくちゃ冷静な感想になっちゃった。気持ち的にはもうちょっと騒ぎたいんですけどぉ……不真面目なところは全部ネタバレになっちゃうからぁ……
敬称略順不同!
小池栄子
小池栄子ってこんなに魅力的な役者なんだなってあらためて思いました。ワカドクロ以来、あんまりちゃんと観たことがなかったので……
泥臭く、まっすぐで、純粋で素直で、無理と無茶を通す物語の主人公。確かに女役者だけど、性別が女であること以外、性別が物語に特になにも影響しなかったのがとても良かった。「女は役者になれない」ってご禁制があるから性別が語られるだけで、役者をやるうえで女だとか男だとか、そういうのがなんにも関係せずフラットに話が進んでいくのがめちゃくちゃ気持ち良かったし、おやぶは、小池栄子は、そういう説得力のある役者だったなって思いました。
役者を演じる役者たちの真ん中で、小池栄子がキラキラした目で芝居の良さを語るの、ほんとうに最高だった。新感線の橋本じゅんの娘をあんなに全力で躊躇いなく気負いなく演じられる女性俳優、まじでほんとうに貴重だとおもうしあまりにも素敵だった。
主人公であるが故に、お破のことを書こうとすると悉くネタバレになるので畳みます。とにかくこのひとが主人公として立っててくれるのがめちゃくちゃ良かった!!!
向井理
出演を重ねるごとに、向井理への信頼がどんどん増していくんだよなあ!このひとにもっと新感線に出てほしいと思えた三作目でした。
蘭兵衛とパイ・フーシェンを経た向井理で遊ぼうとしたときに「上品な切れ者の役が似合うんだよなあ……でも猥雑な下町のわちゃわちゃの中に居させたいしなあ……」って悩む気持ち、とてもよく分かる。その結果、飄々とした町人である座付き作家の天外先生と、堅物で若年寄の采女の二役をやらせるの、まじで好き放題やってんなあ!と思います(ほめてる)
わたし、観る前は向井理の天外先生があんまりイメージつかなくて、ちょっと恐る恐る観たんですけど、思った以上にあの世界に自然に馴染んでいてさすがだなと思いました。なんか、髪もボサボサで服もちょっとボロっぽくて無頓着なかんじの、そういうキャラクタって、やりすぎるとすぐ作り物感が出るじゃないですか。今回二役だし、差別化しようと思ったらこう、大袈裟になりがちじゃん。でも、すごくナチュラルに天外先生が違和感なく存在していた。ちゃんと「どう生きてそこにたどり着いたか」が描かれているからかもしれないけど、向井理が天外先生として存在している座組がすごくバランスが良くて、いい芝居だなって思いました。
座付き作家の天外先生の言葉として向井理の口から飛び出る台詞の向こう側に、中島かずきの、新感線の矜持を感じて勝手に感極まったシーンがたくさんありましたけど、ぜんぶネタバレになるので控えます。
早乙女太一
好き放題やってんなあ!!!!!(ほめてる)
太一さんのこと大好きな脚本家が早乙女太一に女方の役者を演じさせるって、絶対女方の芝居も舞踊もあるだろうし、座組的に立ち回りも一手に引き受けるんだろうし、そんな特盛りなのはちょっと劇団の45周年公演なのにいいとこ持っていき過ぎないかな……と心配してたけど、他のインパクトが強過ぎて、見せ場もしっかりあるのに突出し過ぎず、すごくいい塩梅に落ち着いていた気がします。そう、今回ね、突出してないんですよね、誰も。こんなにたくさんネームドキャラがいるのに、みんなしっかり見せ場があるの。バランス感覚がほんとにすごいと思う。
いや、あの、充分好き放題やってますけどね??!?!澪珠も陣羽織も最高でした。(精一杯のネタバレ回避)
役者の役を演じている早乙女太一って、なんか朱雀で観るほうの芝居に近くて、でも朱雀と違って主役でも座長でもないし、生死賭けたり殺気立てたりしなくていいし、めちゃくちゃのびのび演じてる気がして、珍しいもん観たな……という印象です。初日はあんま注目してなかったから(目が足りない)次はもうちょっと観たい。
古田新太
このひとはほんとに真ん中に立つべきひとだよなとつくづく感じました。さすが看板役者だよな。
こんなにオールスターが出てんのに、古田新太が歩いてきて板の上のど真ん中のバミリのところに入った途端、ギュンッて空気がぜんぶ集中するんだもん。なんなんだろうなあ。ほんとに。技術力の塊なんだろうな。
周年なのでほんとうは古田新太のアクスタがほしいんですが、弾兵衛のあの衣装とメイク、45周年の看板役者のアクスタとしてほんとに合ってる??!!?!って戸惑ったのでまだ買ってない。大阪と東京でも着到板掛けたいのでもう少し検討します……
ネタバレを避けるとこれ以上言えることがない。ひとつ言えるとすれば、みんな弾兵衛乱舞のためにペンライト買って!!!!!
橋本じゅん
おかえり、じゅんさん……相変わらず、濃い…………
ネタバレを避けるとこれ以上言えることがない。
じゅんさんが居るのと居ないのとでは新感線公演の味付けって全然違ってて、それはやっぱりじゅんさんの存在が脚本とか演出とかに反映されて生まれるものだから、ただ濃い役がいればいいってもんでもなくて……ひさしぶりに濃い味付けのじゅんさんが、古田新太と高田聖子と粟根まことと、みんなで並んで板の上に揃っててわたしは泣いた。
じゅんさんの荒蔵ってまじでわけわかんない役なんだけど、わけわかんなさを勢いとパワーで押し通して納得させられるの、ほんとにすごいなって思う。(その勢いとパワーをちゃんと娘のお破が受け継いでるの、小池栄子ってほんとにすごいなって思う。)
橋本さとし
たしかに大物枠ではあるんだけど、ゲスト枠って感じではなくて、自然体で新感線の一員として、ウチガワの人間として存在する橋本さとし、めちゃくちゃ良かった……
縞の着物を着てる町人姿のさとっさんがめちゃくちゃすきだったし、ポスタービジュアルのさとっさんのシーンには爆湧きしました。いやもうポスタービジュアルのさとっさんさあ!!!!!(ネタバレを避けるともう何も言えない)
こんなところであんな感じでそんなものをお出しいただいて誠にありがとうございました。なんで?????
高田聖子/羽野晶紀
まとめてごめん。決して雑になっているわけではない。……いや、キャスト多すぎてちょっと息切れしてはいます。
でもさあ!月髑髏で背中合わせだったふたりが同じ板の上に揃ってるのって、めちゃくちゃ素敵でぇ!!!!!配役的にもわりとニコイチで出てくるしめちゃくちゃ見せ場もあるからほんとうにしあわせ。
彼女たちも誰かの妻ではあるけれど、ひとりの役者としては対等なんだよね。女役者が御法度の世界で、こんなにかっこいい女役者がお破の前を走っているのって、ほんとうに素敵。新感線として一緒に走ってきた女優たちへのリスペクトを感じた気がしました。すごく素敵だった。
羽野晶紀の登場シーンが好きすぎて、あれもっと近くで観たいです。聖子さんの登場シーンもちゃんと観たいけど、ちょっと目が忙し過ぎて忙しいです。このふたりの好きなシーンめちゃくちゃあるんですけど、サイトのあらすじにあんまり出てきてないので軒並みネタバレになっちゃうんだよな!!!
粟根まこと
裏歌舞伎がはちゃめちゃやってる中、橘右衛門は表の世界でちゃんと歌舞伎を興行してるのってまじでアテガキでしかなくて、その中で今回は粟根さんが裏歌舞伎のはちゃめちゃ側とちゃんと絡むシーンが多くて、なんかわりといつもゲストと悪だくみしてる姿ばっかりだったから、古田新太とあんなに台詞を交わしているのが新鮮でした。
新感線っていつもわりと陣営が分かれていて、主要なキャラクタ同士で対立してる話がやっぱり多くなるけど、今回はお上に逆らう役者たちの構図で、つまり大きく言えば役者側がみんな同じ陣営なわけですよね。それって、すごく、すごく祝祭……と思ったし、それを一番感じたのが粟根さんでした。なんかジパパンで前田の慶ちゃんと共闘した三成を思い出したよ。胸アツ。
木野花
これはネタバレっちゃネタバレなんですけど、もう書いていいでしょ?!月影大御神、映像出演なのに存在感出しすぎだよ!!!!!(すき)(だいすき)
なんていうか、確かに今作の劇中劇の元ネタを全部拾えなくても基本的に話の筋としてはあんまり弊害はないんだけど、さすがに月影先生を知らずに観たひとがどういう感情を抱くのかはちょっと想像ができません。
「花の紅天狗」か「月影花之丞大逆転」をどちらも観たことがないひとはせめてダイジェスト観てください。
いやこれ観たってわかんないだろうけどさあ!芝居への愛を語るといえばこのひと!ってキャラクタがこの作品に出てくるの、あまりにも当然すぎるので文句なんて一欠片も言えないし、これ以上どうしようもない。初見のみなさん、がんばってください。
オノオノガタ、祝祭デゴザル!!!
解釈の余地とか演じ方の揺らぎとかで狂うような芝居ではない。それは確かにそう。そうなんだけど、仕込まれてるオマージュの数が馬鹿なので拾いきれないのと、舞台上にめちゃくちゃ役者がいるのでシンプルに目が足りない。主要キャラクタが劇中劇やってるときに別の主要キャラクタが観客として舞台上にいますからね。
役者別感想に出てきたひとたちだけでこんなに人数いるのに、書いてない劇団員も総出演だからいつどこ見ても見たい芝居だらけで困ったもんだよ!!!!!最高!!!!!
とりあえず叫びきったのでネタバレなしのエントリは終了です。
体力が残っていれば「好き放題してやがる!!!(すき)」の詳細を残すためのエントリも書きたい。
兎にも角にも45周年おめでとうございます。
後生だからいつまでも好き放題やってて!!!!!!!