わたしを演劇の世界に引きずり込んだ蜷川幸雄と藤原竜也。タイミングが合わずに一度も観れてなかった身毒丸、え?蜷川幸雄シアター2でやるって?よおし、ついに観るぞ!と思ったら前の週にマクベスやるっていうじゃないですか…えっ、なに?しかも橋本さとし出演?え?メタマクの予習しろって?Disc1のチケット取ってないんですけど…とか言いながら息をするように前売りを2枚買いました。だって、舞台ひとつ2200円?タダ同然じゃん!
いろんな感想溜まってて脳内大渋滞だけど、まずはNINAGAWAマクベスだよ!
キャラメルポップコーンは場違い
3時間近くあるし、お昼ご飯抜いたし!どこかの誰かさんみたいにぜんぶわたしの!ってたっぷりキャラメルポップコーン抱えて劇場入ったら、わたし以外誰もポップコーン持ってなかった。むしろドリンクすら持ってなかった。
あっれー?少女漫画原作の映画もいまいっぱいやってるのにな?2番シアターだけやけに年齢層が高くないか?ひとりだけウキウキしてて浮いてる!と思いながら、めげずにむしゃむしゃポップコーン食べた。いいもん。映画館の収益に一番貢献できるのは売店だって何かで読んだもん。
髑髏城ライビュで麻痺ってたけど、そういえば演劇って年齢層高いんだなって身に沁みた。でも身毒丸でもきっとめげずにポップコーン食べるんだ。
ひとつ油断してたのが、幕間がなかった。いや存在はするんですけど、コチラ側ではそのままぶっ通しでした。サクッと観れたけどね。ゲキ×シネは優しいね…長すぎるからかな…
普通におもしろかった
魔女、歌舞伎って最高かよ〜〜〜!!!冒頭から最高。最高です。
ほら、あの、ね?最近髑髏城ばっかり観てて「罪深い!」とか「つらい!」とか、そういう感想を並べてたから「あ、演劇っておもしろい」と素直にストンと感じてしまったわけです。
惜しむらくは、原作を知らないことですね!疎くてすいません!マクベスの知識は内野聖陽のランダムスターのみです。しかも先月が初見。
シェイクスピアはねえええ、行動原理の理解に苦しむのでちょっと苦手意識あるんですよね…とかぼやきながら観たら、シェイクスピアを名前もろもろカタカナのままなんとなく日本文化に落とし込んだマクベス非常に楽しみました。面白かったです。蜷川さんすごい。
だって意味わかんないですよね?日本の装束着て「コーダーの領主」って。でも、背景が日本文化になったとたん、すごい理解が進んだ。
なんとなく苦手意識があったのは、「シェイクスピア」じゃなくて「文化も時代も違うひとたちの価値観」だったんですね。時代背景ってモノサシがひとつ自分に寄っただけで抵抗薄れるんだもの。蜷川さんすごい。ほんとわたし、西洋史専攻だったくせにね…いまさら気付いたよね…
とにかく名前も土地も権威構造も全部そのままなのに、衣装が和装に変わっただけで、まあよくわかること。視覚的なファクターの重要性。
市村正親と田中裕子がやばい
ほんと語彙力ない見出しですいません。
このキャスティング、人間の強さと弱さの対比がほんとすばらしいと思いました。市村正親って、どちらかというと「強い」印象の役者さんだと思うんですよね。王の役だってヨユーでできちゃう。でも、市村さんが演じるマクベスは弱いひと。小心者で実行力がない。
対照的に、田中裕子は一歩引いた奥ゆかしさ、「弱さ」の表現が上手な役者さんだと思ってた。でも、マクベス夫人は強いですよね。苛烈で、野心家。
しかも物語の後半になるとそれが逆転して、マクベス夫人は病み、マクベスは過信する。
はじめは「へ〜どんなマクベス夫妻なんだろ…」と思ってたけど、マクベス夫人が舞台に現れたときにハッとしました。この、この、対比を、よくぞこのお2人に当てましたね?!って震えてたよ…すばらしかったよ…
柳楽優弥がすき
ごめん、ほんと見出しの語彙力がひどいけど、柳楽くんってそういえば昔からすき。顔が。(演技も素晴らしかったです!!!)
そもそもあんまり役者の出演作を追いかけないタイプ(観るかどうかはマテリアルではなくコンテンツで選ぶ)なので作品は全然観てないですけど顔が好き。
マルカムの役、あれずいぶん若い役のはずだけど、柳楽くんの年齢であの若さと甘さと王族の気品と、すごい良いバランスでわたしはとても好きだった。あの吉田鋼太郎とのくだり、もう一回観たい。
そう、吉田鋼太郎な!あのひとほんと、どこで何演ってもブレずに吉田鋼太郎だなって感じたし、おっさんずラブ観よって思った。
橋本さとし目当てだった
メタマクの予習にしちゃうにはもったいない作品でうっかりしてたけど、そういえばメタマクの予習で行ったんでした。わたしたぶん、橋本さとしさん初見なんですよね…なんというか、癖のない役者さんだと感じたんですけど、どうなんですかね?詳しい人教えて…
つい先月じゅんさんのバンクォー観たからかもしれないけど、すごくスッとしたバンクォーで、あれ、バンクォーこんな役?って。ふつうに渋いイケオジなんだもの!じゅんさん濃すぎるのかな…麻痺してる…
このイケオジがランダムスター!ボケるの?wiki観たら正統派な演劇出まくってるけど、シャウトするの?あー、チケット取ろうかな…ライビュ後で大丈夫かな…いやでもな…(最近ずっと悩んでる)
橋本さとしさんとじゅんさんが、かつては大吉と兵庫として髑髏城演ってた(90年初演)って、それ観たい以外のなにものでも無いですよね…97年版が残ってるだけでも充分すごいけど…
あと、バンクォーからマクベスって、転生も甚だしい…よく考えたら古典演劇だったら何度も演る人もいるだろうし、同じ脚本の役違いってよくあることなのかなーとか。蘭兵衛から天魔王への転生とか、狸穴からぜん三への転生とか、贋鉄斎から天魔王への転生とか…1年で2役ってのが珍しいのか…?
その他もろもろ
・仏壇なんだね?!
舞台装置の障子と扉の使い方が、あの世とこの世の境目みたいで面白いなーと思ってたら、ほんとにあの世とこの世の端境だった。仏壇!絢爛豪華なご先祖様の時代の話。栄枯盛衰な話…
・きれいは汚い、汚いはきれい
これ、あんまり意味はわからないけどマクベスの代名詞かと思ってたら、「良いは悪い、悪いは良い」の訳が採用されてた。どっちも倫理観の話なんだろうけど、NINAGAWAマクベス観てからだと、こっちのほうがしっくり来やすいかもなあとは思います。髑髏城と一緒だよね…正義と悪は絶対ではないんだ…天魔王だって正義なんだから…(どうしても髑髏城が混じる)
・レトリック、やっぱりおもしろいかも
シェイクスピアといえばレトリックってのは安易です?でもあの芝居掛かった言い回しが、これぞ演劇!って感じ。あのセリフ、読んだら回りくどいし、言わないし、舞台上か弁論でしか使わないなあとあらためて実感です。蜷川さんの舞台はそういうセリフを敢えて使ってるのかなー。演劇を、あくまでも演劇として広めていく感じ。2.5次元とか、蜷川さんはどう捉えてたんだろう?とか言いながらインタビューとか記事とかは追わないマン。あんまり詳しくなっちゃうと理屈っぽさが出るタイプなので、純粋にレトリックを楽しむには、へ〜、くらいの知識がちょうどいいです!
そんな蜷川幸雄シアター2
映画館で舞台観られるなんて、すばらしい時代だなあと思っています。舞台だけじゃなくてオペラも歌舞伎も観れるものね。
そういえば歌舞伎は七月大歌舞伎が発表されまして!!!歌舞伎はまだあまり観てないけど、初心者に襲名披露は分不相応ですかね…?むっちゃ観たいんですけど…演目は昼が観たくて、襲名披露は夜なのどうしたらいいの…?歌舞伎の世界ってみなさま、いちにちぶっ通しとかやるの…?長くない…?
と、周りの情報もろもろに目と耳を振り回される蜷川幸雄シアター2。
書いてる間に1週間経って、身毒丸も見終わったのでまた書かなきゃ…