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気付けばハマる、そこは沼。劇団☆新感線を中心にお芝居について好き勝手書き連ねる場所。

どっぷり浸かる沼もいいもんだ【七月大歌舞伎(松竹座)】

高校時代から歌舞伎の沼にどっぷり浸かっていた友人が、うっかり予定をダブルブッキングさせてしまって回ってきた七月大歌舞伎・昼の部。ご挨拶は無いほうだけど、襲名披露公演です!

 

3階席もいいもんだ

歌舞伎座と違って見えにくいよ」と忠告を受けていた3階席。たしかに花道があんまり見えません。でもまあ、舞台は綺麗に見えますので問題ないです。引っ込みのときだけそっと遠慮がちに覗き込む3階勢。うん、わかる。マナーを守りつつ、いいとこはみんなで観たいよね…

ただ、土日だったけど3階席はわりとスカスカだなあという印象。一階もポツリポツリ空席。でも途中から来るひともわりと多くて、後半はわりと埋まった印象。

歌舞伎座の一幕見席で観たときも思ったけど、やっぱりオペラグラスは殆ど要らなかった。そりゃあそうだよね。表情とか役柄を強調するために隈取してるんだもんね。遠くからの全景で十分楽しい歌舞伎素晴らしい。とりあえず観てみたいなら3階席でも十分だと再確認しました。

 

 

一幕:廓三番叟

お祝い事で演じられる舞踊系の演目だそうで。3人が舞う。ただただ日本の古典芸能の美しさを浴びる演目でした。

期待通り、壱太郎さんがとにかく綺麗!滝の白糸で衝撃を受けた壱太郎さん。こっそり楽しみにしていた振袖新造がかわいくてかわいくて萌える。

ちなみに、もちろんイヤホンガイド装備です!三番叟はセリフが無いので、場面解説の他に歌詞解説も入るけど、イヤホンガイド聞いてると歌詞を聴き取る暇が無い。古語難しいですね。

 

二幕:菅原伝授手習鑑〈車曳〉

松王丸!〈寺子屋〉の哀しい松王丸を知っているからなんだか感慨深い松王丸!

ずうっと前、沼の縁を歩くよりもずうっと前に、テレビでやっていた海老蔵さんの〈寺子屋〉を観てるんですよね。局は覚えてないけど、たぶん副音声で解説が付いてて、結構真剣に観た。よくぞ観てたわたし。寺子屋の方が車曳より後だからあんまり関係ないけど、ちょっと知ってるだけで理解が違いますねほんと。

 

車曳は全部そうなのか知らないけど、和事と荒事を同時に観られるのがとてもすてきね、それぞれの襦袢もとてもすてきね。三つ子襦袢のがまぐちポーチセットとかほしい。かわいい。

しかし台詞は古語なので聴き取れるようで聴き取れない!イヤホンガイドありがとう!上から見ると見えないところも多いけど、普通なら見えないところが見えることも多くて楽しみました。(時平が車に入るところがちょぴっと見える)

 

ここまで楽しんで、番附は買うか迷いますね…まだ序盤だから写真も入ってないし…ちょっと中も見せてもらって、結局買わなかった。筋書き入ってるのは気になるけど、それはもうちょっと勉強してからだな。

幕間に廊下へ出ると、案外若いお客様が目につきました。前はもっとご年配が多かった気がするよ。土日だからかな。

 

三幕:河内山

イヤホンガイドは幕間に役者さんインタビューが入るので、ぼっち観劇でも全く退屈しません!というかむしろ人と喋ってる暇がないかも!このインタビューは録音なのかな…解説自体はイヤホン越しに舞台の音が聞こえてるから生だと思うんだよね…録音なのかな…そんなことないよな…

と聴きながら、河内山の筋を全く知らないので幕間で下調べ。悪人が悪人を騙して、開き直って啖呵を切る、スカッと爽快な話らしい。うーん。結局よくわかんないまま幕が開く。

ひえー!白鸚さんすげー!もう、よくわかんないけど、渋い〜〜!広間のやりとりと玄関でのやりとりとの差がすごい〜〜!

台詞が全部七五調なのがかずきに侵された新感線脳にビリビリきます。あらゆる台詞が七五調。信じられん。かっこよすぎるから台本が欲しいなと少し思いながら、でもリズムが良すぎて、場面転換が少なくて、みんなスヤスヤおやすみだったよ…わかる…心地いいよね七五調…

しかし玄関(見せ場)になるとみんな起きる。玄人だ…!

 

案外イヤホンガイドがなくても言葉がわかる作品でした。七五調って口語だもんね。広間では丁寧な言葉なのに、正体がバレた玄関ではべらんめぇになるの最高。イヤホンガイドも、そもそも単語の解説しか流れない。でもこの、ほら、昔の常識知らないから、その、あの、話の流れがわからないよね!ほんとポイントを押さえた解説ありがとう!

 

 

四幕:勧進帳

さて、観たかった勧進帳!一幕から長らくお世話になっているイヤホンガイドさん、とても助かるけど、イヤホンが大きくて耳が痛くなってくる…

しかし!

ここでイヤホンガイドがさらに秘められた力を発揮するときが来たのです。いままでの3つも良かった。わかりやすかった。しかし!ソノダさんの前ではそれも無に等しい。

勧進帳の解説を担当してくれた、穏やかイケオジボイスのソノダさん、超わっかりやすーい!!最高!!!趣がある!三味と鼓の音まで解説してくれるソノダさん最高of最高。途中の長台詞のあたりでは大まかな内容だけ教えてくれて、「用語は難しいので、難しいことは考えずに台詞の応酬、リズムを楽みましょう…」ってソノダさん。でも大事なトコは解説入れてくれるソノダさん。ソノダさん素晴らしすぎる!!!誰なんだろう!滝の白糸のイヤホンガイドさんも同じような穏やかイケオジで心地よかったのを覚えている。ソノダさん、まるで一緒に観てて隣から語りかけて来るかのような口調で、とにかく最高に聞きやすい。

情緒のあるソノダさんのイヤホンガイドに支えられながら、勧進帳のはじまりです。

義経一行の登場は花道の手前すぎて幸四郎さん見えず。仕方ないね。知ってたからね。幸四郎さんが扇片手に舞うとどうしてもアオドクロが過ぎる新感線脳。これが本家だね…(演目違い)

そして舞台上の仁左衛門さん、スタイル良すぎ美形すぎで涙が出る。それにしても、歌舞伎って途中で身繕いが入るのが日本らしいよね。

 

河内山のときもそうだったけど、見せ場が近づくと周りの玄人たちがザスッと身構えるから非常にわかりやすい。あ、いまからいいとこだなって分かるからメリハリもつくし。

最後の引っ込みが見せ場なのは知ってたけど、3階だし見えないなーと思ってたら、引っ込みが近づくにつれて暗黙の了解みたいにみんな少しずつ乗り出すから、ありがたく控えめに覗き込ませていただき、無事に片手飛び六方を少しだけ拝めました。しかも七三での見栄は正面から観ました。ヒィッ。

 

沼へどぼん!

ああ!ついに古典歌舞伎を観てしまった〜〜!楽しかった〜〜!次は何観よう!誰観よう!8月と9月はこれ以上観劇は増やせそうにないので、次があるとすれば秋以降かな。新春新橋は誰が出るのかな。毎月何かしら各地で上演してる歌舞伎ほんと供給がすごい。沼!